岸田文雄首相とバイデン米大統領は10日午後(日本時間11日未明)、米ワシントンのホワイトハウスで共同記者会見に臨んだ。首相は日米同盟に関し「今こそグローバルなパートナーとして真価を発揮すべき時だ」と述べ、世界の課題に共に対処すると強調した。バイデン氏は首相が意欲を示す日朝首脳会談への支持を表明した。両首脳はこれに先立つ会談で、覇権主義的な動きを強める中国に対し、日米が緊密に連携する方針で一致した。

首相は11日、米連邦議会上下両院合同会議で演説する。

会談で両首脳は日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化が急務とした上で、自衛隊と在日米軍の連携強化に向けた指揮・統制枠組みの見直しで合意した。バイデン氏は「指揮・統制を現代化し、切れ目なく効果的に協力するため相互運用性も向上させる」と述べた。

中国の力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する立場を確認。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、中台問題の平和的解決を促す方針で一致した。中国との対話を継続し、共通の課題での協力も申し合わせた。

バイデン氏は会見で、中国公船が領海侵入を繰り返す沖縄県・尖閣諸島は、米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと改めて明言。首相は「中国に大国としての責任を果たすよう働きかける」と語った。

日朝首脳会談に関し、バイデン氏は首相から今後の北朝鮮政策について説明を受け「同盟国が対話を主導する機会を歓迎する」と強調した。日本人拉致問題の即時解決へ力強い支持を表明した。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に日米、日米韓で協力して対応すると確認した。

首相はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続する考えを伝達した。日本企業が投資や雇用創出によって米国経済に貢献していると説明し、バイデン氏は賛意を示した。

会談は少人数会合約30分、拡大会合約55分の計約85分だった。少人数会合には両首脳のほか上川陽子外相、秋葉剛男国家安全保障局長、ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が出席した。(共同)