1955年の町制発足以来、女性の議員も立候補者もいなかった宮城県蔵王町(人口約1万1千人)の町議会に、初めて3人の女性議員が誕生した。いずれも昨年、町が開いた「模擬議会」に一般公募で参加し、女性議員役を務めたことが立候補のきっかけとなった。地方議会への女性参加に向けた取り組みのヒントになりそうだ。

任期満了に伴う今年2月の町議選(定数13)に男性16人、女性3人が立候補。今千佳さん(52)は全体トップ、伊藤雅代さん(68)と藤沢麻衣子さん(40)も当選した。学童保育補助員を務めていた今さんは「経験を踏まえ、町に関わっていきたい」と意気込みを語った。

模擬議会は女性に議会への関心を持ってもらおうと、町が昨年7月に開催。町内の30~70代の一般女性7人が公募で参加し、女性活躍などをテーマに町長らと質疑応答した。当選した3人は「この経験が、実際に立候補する後押しになった」と口をそろえる。

総務省によると、全国の市区町村議会議員に占める女性の割合は17・6%(2023年末時点)で、比率向上は喫緊の課題。ただ、全国市議会議長会と全国町村議会議長会によると、22年に女性が参加する模擬議会を開いた市区町村は12で、取り組みは道半ばだ。

蔵王町では、模擬議会出身の女性議員に期待する声が相次いだ。デザイナーの永井京花さん(26)は「みんな女性議員を求めていた。女性ならではの視点や意見が入り、これからの町が楽しみ」。無職女性(79)は「女性が政治をすることなんてなかった。3人で団結して町を変えてほしい」と話した。(共同)