自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の実態解明や再発防止、政治資金の透明化を求める意見書が、少なくとも66の地方議会で可決されていたことが13日、参院事務局への取材で分かった。派閥から議員側に還流された資金の使途や不正の中心人物など解明すべき項目を具体的に提示した意見書もあった。「政治とカネ」を巡る不信感の高まりに、国会議員だけでなく地方議員も強い危機感を抱いている実態が浮かび上がった。

都道府県議会では18府県議会で意見書案が提出され、このうち岩手や福岡など11府県議会が可決。その後、岸田文雄首相や衆参両院議長に送付した。千葉や大分など7県議会では、自民党による調査が一定程度進んだことなどを理由に自民党会派が反対し、否決された。

裏金事件を巡っては、自民党が今月4日に安倍派幹部だった塩谷立、世耕弘成両氏を離党勧告とするなどの処分を決定。ただ、還流が始まった理由や、2022年4月に中止が決まった還流が同8月以降に復活した経緯などは不明のままだ。

秋田県議会は、事件をきっかけに政治への疑念が広がっているとし、疑惑の徹底解明と政治資金規正法改正を含む再発防止策を進めることを要請。滋賀県議会も「このまま事態を放置すれば、議会制民主主義は重大な危機に陥りかねない」と切迫感を訴えた。

問題点が詳細に書かれた意見書も多く、三重県議会は不正の中心人物や還流資金の使途がまだ明らかになっていないなどと具体的に指摘した。大阪府議会は、企業・団体によるパーティー券購入の在り方を検討するよう要求。使い道を明らかにする必要のない政策活動費についても「国民目線から見て到底許されるべきではない」と断じた。

地方自治法は「自治体の公益に関する事件について国会などに意見書を提出できる」と規定。共同通信は今月4日までに受理した意見書の集計を終えた参院に取材するとともに、全都道府県議会に意見書案の提出状況を聞いた。衆院は集計方法が異なるため、データベースに最新の状況が反映されていない。(共同)