国営イラン通信は14日、情報筋の話として、イランがイスラエルに弾道ミサイルの第1波を発射したと伝えた。1日に在シリアのイラン大使館が攻撃を受けたことに対する大規模報復に踏み切った。イランがイスラエル領内に直接攻撃を仕掛けたのは初めて。ロイター通信によると、イスラエル軍は100機以上の無人機がイスラエルに向け発射されたと発表した。

イスラエルの民放「チャンネル12」によると、同国政府高官はイランに対し大規模な報復をすると明らかにした。

昨年10月から続くパレスチナ自治区ガザでの戦闘が波及した形で、中東情勢は一気に緊迫の度を増した。イランのアシュティアニ国防軍需相は、イスラエルに領空や領土を開放する国には断固対応すると警告、イスラエルの反撃をけん制した。

チャンネル12によると、イスラエル政府高官は「(イランからの)ミサイルの99%を撃ち落とした」と表明。一方でイラン国営メディアはイスラエルに発射したミサイルの半数以上が標的に命中したと主張した。イスラエルの救急関係者によると、イスラエル南部で少女(10)が負傷。エルサレムでは14日未明、サイレンが鳴り響き、上空では迎撃する爆音が響き、閃光(せんこう)が走った。

米ホワイトハウスは13日、イランがイスラエルに対する空からの攻撃に乗り出したとの声明を出し、数時間にわたって攻撃を展開する可能性が高いとの見方を示した。

イラン国連代表部はX(旧ツイッター)で「イランとイスラエル間の紛争であり、米国は距離を置かなければならない」と介入をけん制。報復により「問題は終結したとみなすことができる」とする一方で、イスラエルが反撃すればイランの措置は「かなり厳しくなる」と警告した。

バイデン米大統領は13日、東部デラウェア州での静養を予定より早く切り上げてホワイトハウスに戻り、関係閣僚や安全保障担当の高官と対応を協議した。(共同)