岸田文雄首相は14日、イランによるイスラエルへの報復攻撃を受け「中東情勢を一層悪化させる。深く懸念し、こうしたエスカレーションを強く非難する」と官邸で記者団に述べた。「情報収集と、邦人保護を含め各国と連携した対応を関係省庁に指示した」と説明。現時点で邦人被害の報告はないと明らかにした。

「事態を沈静化させるべく、あらゆる外交努力を続けなければならない」とも語った。首相は訪米から帰国途上の政府専用機内で報告を受けた。羽田空港到着後、その足で官邸入りし、秋葉剛男国家安全保障局長、外務省の岡野正敬事務次官らからも状況を聞いた。

上川陽子外相は14日に発表した談話で「中東地域の平和と安定は、わが国にとっても極めて重要だ。当事者に対し、事態の沈静化を強く働きかける」と強調した。

外務省は14日、イランへの渡航中止を求める注意喚起を出した。イランからの出国や一時帰国を希望する滞在者には、定期商用便が運航されている間の出国を検討するよう要請した。

自民党の小野寺五典安全保障調査会長はフジテレビ番組で「第2波、第3波でテルアビブなどイスラエルの中核が攻撃されれば、中東戦争が避けられない状況になる」と危機感を示した。中東戦争が始まれば日本経済への悪影響も大きいと指摘。国際社会の関心が中東に集まることで、東アジア地域に力の空白が生まれる状況を警戒した。(共同)