国連安全保障理事会は14日(日本時間15日)、イランによるイスラエル攻撃を協議する緊急会合を開いた。イスラエルは「イランの攻撃はレッドライン(越えてはならない一線)を越えた」として「報復する権利」があると主張した。イランは「自衛権の行使」だと正当化し、イスラエルを支持する米国を含めてけん制した。グテレス国連事務総長は関係国に最大限の自制を求めたが、非難の応酬が続いた。

先進7カ国(G7)は日本時間14日夜、オンライン形式で首脳会議を開き、イランへの制裁を検討した。議長国イタリアは攻撃を「最も強い言葉で非難する」との首脳声明を発表。米政府高官は、複数のメンバー国がイラン革命防衛隊をテロ組織に指定する可能性に言及したと明らかにした。

イスラエル戦時内閣は14日、イランによる攻撃への対応を閣議で協議した。地元メディアなどによると、イランへの反撃に支持が集まる一方、時期や標的、方法について意見が割れ、結論には至らなかった。

安保理の緊急会合で、イスラエルのエルダン国連大使は、イランへの非難声明や制裁などを要求した。イランのイラバニ国連大使は、攻撃は最小限になるように配慮したと強調。米国が軍事行動を起こした場合は「相応の対応を取る」と警告した。

G7の首脳声明は、イスラエルへの「全面的な連帯と支持」を表明、イランの行動に応じて「さらなる措置を講じる用意がある」と警告した。「制御不能なエスカレーションを引き起こす危険がある」とし、イランと代理勢力に攻撃停止を要求した。

岸田文雄首相は首脳会議で「攻撃を深く懸念し、エスカレーションを強く非難する」との立場を説明した。G7が主導、国際社会全体として「当事者に事態沈静化と自制を強く働きかけていくべきだ」と訴えた。自国民保護や退避などで緊密に情報を共有し、連携して対応したいとした。(共同)