前浜松市長の鈴木康友氏(66)が15日、静岡県庁で記者会見し、川勝平太知事(75)の辞職に伴う5月の県知事選に無所属で立候補すると表明した。「混迷する県政を立て直すために、これまでの経験を生かせると思い、決断した」と述べた。出馬表明は元総務省官僚の大村慎一氏(60)に続き2人目。両氏とも自民、公明、立憲民主、国民民主各党と連合静岡に推薦を求める考えで、各党の対応が焦点となる。

自民静岡県連の増田享大幹事長は15日、記者団に、支援の方針について「2人から聞き取りをし、18日までに方向性を見いだしたい」と語った。連合静岡は鈴木氏を支援する方向で調整しており、17日にも態度決定する見通し。知事選は5月9日告示、26日投開票の日程で実施される。

川勝氏が着工を認めていないリニア中央新幹線静岡工区のトンネル掘削工事に関し、鈴木氏は「川勝氏のおかげで課題は明確になった。環境との両立を図りながら推進していきたい」と説明した。

大村氏も15日の政策発表会見でリニア推進の考えを示した上で、工事に伴う大井川の流量減少への懸念があることについて「どこまでが県として許容できるか、きちんと確認、点検して進めていきたい」との見解を示した。

鈴木氏は浜松市出身。旧民主党衆院議員を2期務め、2007年の浜松市長選で初当選し、4期務めた。大村氏は静岡市出身。10年1月から11年12月まで川勝氏の下で副知事を務めた。

川勝氏は県職員への訓示で職業差別とも捉えられる発言をし、県庁に抗議が殺到。撤回、謝罪した上で、リニアの品川-名古屋間の27年開業をJR東海が断念したことなどを理由として今月10日に辞職願を提出した。(共同)