外国にルーツを持つ人の見た目の特徴に基づいて警察が職務質問する「レイシャル・プロファイリング」は差別を助長し違憲だとして、パキスタンなどの出身で日本で暮らす男性3人が国と東京都、愛知県に損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁で開かれた。原告2人が意見陳述し「第一印象のまま相手に接することは偏見や差別につながる」と訴えた。

国側は答弁書で「都道府県警察で人種、肌の色などのみに基づいて職務質問を行うという組織的な運用は存在しない」と主張。東京都、愛知県も争う姿勢で、今後詳しい主張を明らかにする。

原告は、日本国籍や永住権を取得した20~50代の男性3人。8歳でパキスタンから来日し、日本国籍を取得した名古屋市の20代男性は法廷で「大学生の頃から頻繁に職務質問を受けるようになった」と明かした。多くの外国ルーツの人に同様の経験があるとし「外国人イコール犯罪者ではない。互いを理解し合えるよう、日本をより良くするための裁判だ」と述べた。

訴状によると、3人は日常生活の中で繰り返し不当な職務質問を受けたと主張。警察官の研修資料で、見た目に基づく職務質問が推奨されるなどレイシャル・プロファイリングの運用が行われており、法の下の平等を定めた憲法14条や人種差別撤廃条約などに違反するとしている。(共同)