東京電力は15日、2011年の福島第1原発事故後、初の再稼働を目指している新潟県の柏崎刈羽原発7号機の原子炉に核燃料の装填(そうてん)を始めた。「検査の一環」としており、24時間態勢で進めて完了は約2週間後の見通し。新潟県の花角英世知事は再稼働に同意するかどうかを表明していないが、福島事故後に再稼働した6原発12基は地元の同意後に装填しており、同意前は異例だ。

1月の能登半島地震を踏まえ、原発事故と自然災害が重なった時に避難路を確保できるのか不安が高まっている。説明を尽くさず再稼働を急ぐ動きに、東電や政府への反発が強まる可能性がある。

作業は原子力規制委員会が15日承認した。東電によると、午後5時過ぎから制御棒や関連器具を原子炉内に入れる作業を始め、装填開始は午後6時25分ごろ。核燃料プールから使用途中や新品の計872体を1本ずつ原子炉圧力容器に入れる。その後、1カ月ほどかけて、緊急炉心冷却装置(ECCS)の機能や、原子炉圧力容器と格納容器が密閉されていることを確認するとしている。

装填に伴い、東電は柏崎刈羽原発の宿直を8人から51人に増員する。常設の放射線監視装置(モニタリングポスト)以外に持ち運び可能なものを用意するなど対策も強化する。

同原発は1~7号機があり、福島第1原発と同型の沸騰水型炉。このうち6、7号機は改良型。総出力は世界最大規模の821万2千キロワット。電力は首都圏などに供給される。 

7号機は17年12月、規制委の審査に合格。21年1月以降、社員によるIDカードの不正利用などが相次ぎ発覚し、規制委は事実上の運転禁止を命じた。改善がみられるとして23年末解除した。

花角氏は能登半島地震や一昨年の大雪を踏まえ、原発事故時の避難の在り方に課題があると指摘している。(共同)