トランプ前米大統領(77)が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件の初公判が15日、ニューヨーク中心部のニューヨーク州地裁で開かれた。米大統領経験者の刑事責任が裁かれるのは初めてで、11月の大統領選に向けた選挙戦と公判が並行して進む異例の事態となる。トランプ氏は入廷前、記者団に「政治的迫害だ。米国への攻撃だ」と批判した。

公判は16日以降もほぼ毎日開かれ、6月ごろ陪審による評決が出る見通し。トランプ氏はこのほか三つの刑事事件を抱えており、大統領選への影響が注目される。トランプ氏は15日の公判で連日出席する意思を示し、徹底抗戦の姿勢を見せた。

この日は無罪か有罪かを判断する12人の陪審員の選任手続きが始まった。最初の候補として96人が法廷に呼び出されたが、公正な立場で参加できないなどと表明する人が相次ぎ、1人も決まらなかった。選び終えるまで数日かかる見込みだ。

弁護側は「トランプ氏は全ての手続きの参加を望んでいる」と判事に伝えた。トランプ氏は15日の公判終了後「いかさまだ。永遠に続く政治的魔女狩りだ」と記者団に持論を展開した。

トランプ氏は、不倫関係にあったと訴える女性ストーミー・ダニエルズさんに2016年大統領選の直前、口止め料として13万ドル(約2000万円)を支払い、立て替えた当時の顧問弁護士への弁済を帳簿上「法務費用」と偽って処理した罪に問われている。昨年3月に起訴され、翌4月の罪状認否手続きで無罪を主張した。

州検察は選挙戦に不利な情報の隠蔽(いんぺい)が目的で、重罪に当たると指摘している。有罪となった場合、最高で禁錮4年を科される可能性があるとみられている。無罪評決の場合、州検察は控訴できず確定する。(共同)