米グーグルがLINEヤフーの「検索連動型広告」事業の一部を制限したとして公正取引委員会の調査を受け、独禁法の「確約手続き制度」に基づき改善計画を提出したことが16日、関係者への取材で分かった。

公取委は改善計画に実効性があり、履行されれば市場の競争が確保されると評価し、改善計画を認める方針。計画の認定は行政処分の一つで、グーグルへの監視を強める公取委による同社への初の行政処分となる。公取委は認定後、計画を公表する。

検索連動型広告は現在グーグルが7~8割を占め、ヤフーが追う構図。公取委は、広告主の選択肢が狭まることで、グーグルの寡占がさらに進むと判断した。ヤフーはグーグルから広告配信技術の提供を受けているため、要求を受け入れざるを得なかったとみられる。

グーグルは「確約手続きを申請し、公取委の認定を待っている。調査に全面的に協力してきた」とコメントした。

検索連動型広告は、検索サイトで入力した語句に合わせた広告が表示されるサービス。関係者によると、ヤフーは2010年からグーグルと提携し、スマートフォンなどのポータルサイトに検索連動型広告を配信している。

ところが10年代半ば、グーグルはヤフーがポータルサイトに提供していた検索連動型広告をやめるよう要求。グーグルの検索エンジンが使えなくなる恐れがあるとの懸念もあり、ヤフーは要求を受け入れたという。

公取委は一連の対応が独禁法違反の私的独占などに当たる可能性があるとみて、22年に調査を開始。今年3月、確約手続き制度に基づきグーグルに違反の疑いを通知した。公取委による調査開始を受け、グーグルは既にヤフーへの要求を撤回している。

企業が違反行為をやめて改善に取り組むことに合意した場合、確約手続き制度に基づき、課徴金納付命令や排除措置命令といった重い処分は免除される。(共同)