元鐘紡(現クラシエ)社長や日本航空会長を務めた伊藤淳二(いとう・じゅんじ)さんが2021年12月に死去していたことが16日、分かった。99歳だった。

長野県出身。日航会長として立て直しに取り組む様子は作家・故山崎豊子さんの小説「沈まぬ太陽」のモデルになったと言われる。

慶大卒業後、1948年に鐘淵紡績(当時)に入社。68年に45歳の若さで社長に就任し、84年から会長を務めた。綿紡績が中心だった同社を合繊、化粧品、医薬品、食品、住宅関連の5部門を柱とする多角的企業に育て上げた。

71年には日本紡績協会委員長に就任、日米繊維交渉で業界の取りまとめに尽力した。

85年、当時の中曽根康弘首相に請われて日航入り。副会長、会長として同年のジャンボ機墜落事故後の経営改革に取り組んだが、社内外からの根強い反対に遭い、道半ばで日航を去った。(共同)