イスラエルによる19日未明のイランへの反撃を巡り、米ABCテレビは、イスラエル戦闘機がイラン中部イスファハン近郊に向けミサイル3発を発射していたと伝えた。中部ナタンズにある核施設の防護を担う防空レーダー拠点が標的だったという。イラン軍事筋は19日、ミサイル攻撃を否定し、無人機3機を撃墜したと主張。これまで両国とも公式発表はなく、攻撃の全容は明らかになっていない。

ロイター通信などによると、イラク首都バグダッド南方の軍事施設が19日夜から20日未明にかけて空爆を受けた。治安当局者らが明らかにした。施設はイスラム教シーア派民兵組織で親イランの人民動員隊(PMF)が利用しており、空爆でメンバー1人が死亡、6人が負傷した。イスラエルの反撃との関連は不明。米中央軍はイラクでの空爆を否定した。

イラン軍事筋はイスファハン近郊の空軍基地周辺で無人機を撃墜したとしている。イランのアブドラヒアン外相は19日、訪問先の米ニューヨークでの会合で、空軍基地への攻撃に関し、イスラエルを名指しせず「損害や人的被害はなかった」と述べた。

米CNNテレビは、空軍基地では空爆による建物の破壊などが確認できず、大きな被害は出ていないもようだと報じた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、イラン当局者は同国北西部タブリーズでも複数の無人機が撃墜されたと明らかにした。

ジャンピエール米大統領報道官は19日の記者会見で、イスラエルの反撃に「現時点でコメントすることはない」と述べた。米国は中東紛争の激化を望まないと強調。オースティン米国防長官はイスラエルのガラント国防相と電話会談し、地域の安定維持に向けた取り組みを協議した。

イスラエル国防当局者はニューヨーク・タイムズに、空軍基地への19日の攻撃はイスラエルによるものだと認めた。14日未明にイランから大規模攻撃を受けたことへの反撃とみられる。(共同)