政府は26日、スマートフォン向けアプリ市場の巨大IT企業による独占を規制する新法案「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」を閣議決定し、国会に提出した。アプリストアや決済システムへの競合他社の参入妨害を禁止。自由競争を促進し、提供価格の低下や利用者の選択肢拡大につなげる狙いだ。違反行為には関連する国内売上高の20%分の課徴金を科すなど厳しく臨む。

今国会の会期中に成立すれば、2025年末までに施行される見通し。

新法案では、スマホの利用に特に必要な基本ソフト(OS)やアプリストア、ブラウザー、検索エンジンを「特定ソフトウエア」と定義。米アップルやグーグルを念頭に指定事業者を選定する。

例えば、現状ではアップルのiPhone(アイフォーン)で利用できるのは「アップストア」のみだが、他のアプリストアも使えるようになる。複数のストアが参入することで消費者にとっては購入先の選択肢の幅が広がり、競争によりアプリの価格低下につながることも期待できる。ブラウザーなども選べるようになる見込み。

指定事業者には順守状況の報告も求める。違反に改善が見られない場合は課徴金を30%まで引き上げる。公正取引委員会の古谷一之委員長は「消費者の選択肢が広がることはイノベーションや競争とセットであり、法案が実現の一助になればいい」と話した。

同様の規制を巡っては、欧州連合(EU)が3月に、グーグルやアップルなどに対し禁止事項を定めたデジタル市場法(DMA)を全面適用し先行している。日本も欧州と足並みをそろえて巨大ITの監視を強化する。(共同)