日銀は26日の金融政策決定会合で、全員一致で金融政策の維持を決めた。

政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標は現行の0~0・1%程度で据え置き、長期金利の急上昇に備えて国債購入も継続する。3月に17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策の解除に踏み切ったばかりで、物価や賃金の動向を見極める必要があると判断した。景気の現状判断は「緩やかに回復している」を維持した。

日銀の決定を受け、東京外国為替市場では日米の金利差が縮小しないとの見方から円安が進んだ。植田和男総裁は会合後の記者会見で、足元の円安進行が「基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていない」との認識を示し、当面は「緩和的な金融環境が継続する」とも説明。会見中に円相場が一時1ドル=156円台後半に下落した。

植田氏は今後について、円安が物価に無視できない影響を与えた場合は「金融政策の判断材料になる」とも語った。

日銀は会合後、経済や物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表。2024年度の消費者物価上昇率は1月の前回リポートで示した前年度比2・4%から2・8%に上方修正した。

賃金と物価がそろって上がる好循環が続くとして、25年度は1月時点の1・8%から1・9%に引き上げ、今回初めて示す26年度も1・9%と見込んだ。

植田氏は会見で、物価上昇率が日銀の予想通りに推移すれば「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べ、物価情勢を点検した上で追加利上げに踏み切る考えを示した。住宅ローン金利などに影響が出ることを踏まえ、慎重に判断するとした。利上げ時期は「特定の考えを持っているわけではない」と語った。

日銀は長期金利の上昇を抑制するために大量の国債を購入してきたが、植田氏は将来的に購入額を減らす方針を示している。会見では減額する時期を「申し上げられる段階にない」とした。3月に大規模な金融緩和策から転換した影響が国債市場にどう出るかを見極めていると説明した。(共同)