東京大の次期学長に選出された大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授(64)が29日、東大内で記者会見し「学術への信頼に責任を持ち、日本および世界の学術をけん引するという東大の国際的、社会的な役割を果たしていきたい」と抱負を述べた。任期は来年4月から6年間。
来年創立150周年を迎える東大で女性学長は初めて。藤垣氏は「社会にとってもかなりメッセージ性があるのではないか。研究者を目指す女性が増えることを期待している」と語った。
東大では医学系研究科の元教授らによる汚職事件が相次いで発覚し、ガバナンス強化が進められている。藤垣氏は「自浄作用や危機意識が著しく不足していたことは、大変反省すべき点」とし、藤井輝夫学長が進める改革を「受け継ぎ発展させる」とした。
28日に実施した教授や准教授、職員らによる上位の候補者3人を対象にした投票で藤垣氏は2位だった。会見には選考会議の議長を務めた東京芸術大理事の国谷裕子氏も参加し「藤垣氏が女性であることは議論の対象にはならなかった。資料、面接などに基づき協議を繰り返し、責任を持って選んだ。学内構成員にも理解を得られる」と述べた。
藤垣氏の専門は科学技術社会論と科学計量学。大学院総合文化研究科副研究科長や理事・副学長などを歴任した。(共同)
◆藤垣裕子(ふじがき・ゆうこ)1962年(昭37)4月19日、東京都出身。桜蔭高から東大へ進学し、85年に東大教養学部を卒業。90年に東大大学院総合文化研究科博士課程修了し東大教養学部助手に。科学技術庁などを経て、10年から東大大学院総合文化研究科教授。21年から5年間、入試などを担当する理事・副学長を務めた。専門は科学と技術と社会の接点や境界に発生する問題について、人文・社会科学の方法論を用いて探求する科学技術社会論、科学計量学。

