★米中首脳会談の本質は両国に影を落とす様々な問題に対して現状を打開するだけの良策がなく、台湾への武器売却を仕掛ける米国は、台湾問題とAI対応などでも合意にこぎつけず、成果なき両雄となった。矛先を変え米ドナルド・トランプ大統領の緩く甘いアジア史の知識や不見識の歴史観を分析した中国側が巧みに仕掛けたことが新たな火種を生むわけだが「米中同盟」発言で中国は言質を取ったとし、米国は気にしない。それなのに「今、AIですとか半導体ですとか重要鉱物など、ドナルドと“私のリーダーシップのおかげ”で、日米間で経済安全保障の協力も進んでいます」と発言した首相・高市早苗の発言の意図さえ分からない。

★また22日の国連総会での高市の一般討論演説では「高性能AIのリスクに対応するため、安全性に関する協力も強化して、これらの取り組みを加速すべく、AIサミットを早期に日本で開催したい」としたが、米中議論の前で世界中が「なぜ日本がイニシアチブをとるのか」と感じたのではなかろうか。読売新聞は10日付の一面で「首相 外交面の評価高く 読売・早大共同世論調査『内閣仕事ぶり』最高」と報じ、日米首脳会談後も「強い日米同盟を誇示」とした。これらの報道がどんな意図をもって書かれているのかは不明だが、政界の高市外交の評価は「外交不在」でしかない。

★26日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は国連総会の一般討論演説で「現在、軍国主義の道を歩んでいる日本やドイツに追加の議席を割り当ててはならない」と訴えた。またブラジルとインドについては、常任理事国入りへの支持を表明。ラブロフは今まで国連安保理改革で協力してきたG4(日本、ドイツ、ブラジル、インド)を分断、ことに右派の台頭が顕著な日・独を否定し、ブラジル・インドを受け入れる発言は先の大戦の日独関係をほうふつとさせる意味があろう。加えてロシアは今、ウクライナと戦争をしていることは世界が承知している。この矛盾を突く発言こそ日本に求められているが、28日、官房長官・木原稔はラブロフ発言に「事実に反することから、我が国は答弁権を行使し、我が国は戦後一貫して自由、民主主義、法の支配を擁護し、アジアのみならず世界の繁栄に貢献してきていることなど、我が国の立場を明確に発信」としたが、こんなへなちょこ反論のどこが外交面の評価が高いのかわからない。(K)※敬称略