12日にジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生した東京・上野動物園は14日、同園内で会見を行い、赤ちゃんを母親のシンシン(11)から一時的に離して身体検査を行い、健康状態が良好であることを確認したことを明かした。

 同園によると、14日午前5時20分ごろ、スタッフが産室の柵の間から手を入れてシンシンのおなか付近にいる赤ちゃんを取り出し、保育器へと移したという。検査では、へその緒周辺の消毒なども行い、消毒中に通称「ミルク便(べん)」と呼ばれる、母親のミルクを飲んだ赤ちゃんにみられる特徴的な黄色いふんが確認されたという。

 赤ちゃんのサイズも計測し、体長は14・3センチ、体重147グラムだった。シンシンの出産に伴って来日した中国人スタッフが確認したところ、赤ちゃんのサイズは通常の範囲内だといい、鳴き声やミルク便の様子、体重などから、健康状態にも問題はないと判断したという。

 赤ちゃんの性別は今回の検査でも判別できなかった。生後2日ほどでも生殖器などから性別は判断できるというが、同園は「赤ちゃんがいなくなり、シンシンが産室内を歩き回るなど、不安そうな様子を見せたことから、早く赤ちゃんを返そうと、必要なケアを優先して検査は20分ほどで終了させた。その流れの中で分かれば性別を判断したかったが、今回はしっかりと時間をとって確認しなかったので、わからなかった」と説明した。検査後に赤ちゃんを産室内に戻したところ、シンシンはすぐに赤ちゃんを口にくわえて抱きかかえたという。

 出産後、飲まず食わずで赤ちゃんの世話をしていたシンシンにも、昨日から2回ほど電解質やブドウ糖の粉を溶かした水を与えたといい、柵の外からひしゃくに入れた水を差し入れ、それをシンシンが飲む様子を映した動画も公開した。1回につき1リットル与え、2回ともほぼ全て飲み干したという。同園によると出産後の母親パンダが飲まず食わずで赤ちゃんの世話をすることは普通にあることだといい、今後も様子を見ながら1日2回を目安に水分を与えていく。

 シンシンにも睡眠したり休息をとっている様子が確認されており、同園は「昨日に引き続き、赤ちゃんをなめたり、授乳をしたり、赤ちゃんを胸に抱くという動きもある。生まれてすぐのときより、世話も上手になっている印象だ」と話した。スタッフが産室の中に入ってもシンシンが興奮することもないといい、今後も継続的に慎重に観察を続けていくとした。