将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が17日、大阪市の関西将棋会館で指された朝日杯オープン戦1次予選で学生名人の東大1年、藤岡隼太アマ(19)を破り、自身の歴代単独2位の公式戦連勝記録を「27」に更新した。30年前に神谷広志八段が打ち立てた歴代最多の28連勝にあと1勝と迫った。タイ記録が懸かる次戦は21日、王将戦予選で若手実力者の澤田真吾六段(25)と対局する。

 最後まで手を緩めなかった。現役東大生を相手に終始攻め続け、快勝した。昨年12月のプロデビューから無敗を続ける中学生棋士が、ついに30年ぶりの偉業達成に王手をかけた。

 藤井四段は「プロとして負けられないという気持ちはあったが、自然体で臨んだ。早指し戦としてはうまくいったのかな」と振り返りながら「ここまで連勝できたのは幸運な感じです」と笑顔を見せた。

 5歳の冬に愛知県瀬戸市の自宅近くの「ふみもと子供将棋教室」へ通うようになった。週に3回、1日3時間、将棋を学んだ。将棋が終わると、仲間とプロレスごっこを楽しんだ。小学校低学年の時には、1人の上級生に技をかけられ何度もギブアップに追い込まれた。

 文本力雄塾長(62)は「将棋に負けたときは大泣きすることはあったが、プロレスで負けても泣いたことは1回もなかった。聡太はその上級生が大好き。その子は遊びでも手を抜かなかった」と話した。体格や力が上の相手にも全力でぶつかる。遊びの中からも真剣勝負を学んだ。

 勝率10割で歴代連勝記録1位の28連勝まで、あと1つに迫った。タイ記録が懸かる21日の大一番は、棋王戦1次予選で20連勝のときに戦った若手強豪の澤田六段が相手だ。前回の対局では終盤に追い込まれて際どい勝利だった。

 「澤田さんとは1度戦い、強さは分かっています。強敵ですが(記録を)意識せず、いつも通り」。大記録へ、手は緩めない。【松浦隆司】

 ◆朝日杯オープン戦 棋士と女流棋士、アマチュアの計173人がトーナメントを戦う。プロ10人、アマ10人が出場するプロアマ戦は1次予選の1回戦で東西で開催。持ち時間各40分、使い切ると1手1分未満の早指し戦となる。