安倍自民党を、新たなスキャンダルが直撃した。自民党の豊田真由子衆院議員(42=埼玉4区)が、政策秘書(当時)に暴力行為をはたらき、「このハゲ!」などの暴言を浴びせていたと、22日発売の「週刊新潮」が報じた。豊田氏は党本部に離党届をスピード提出したが、党による事実上の「追放」だ。国会議員の資質が問われる問題で、議員辞職に追い込まれる可能性もある。豊田氏は不祥事が相次ぐ「魔の当選2回生」の1人。自民党は「負の連鎖」に追い込まれている。

 加計学園問題で追い詰められている安倍政権&自民党を、「魔の2回生」によるスキャンダルが襲った。

 「その女代議士、凶暴につき」として報じた「週刊新潮」によると、豊田氏は5月、車を運転中の政策秘書の男性を、後部座席から「お前」と呼んで罵声を浴びせ、頭や顔を数回殴り、けがを負わせたという。支持者に送ったカードの宛先と名前が異なっていたミスが一因で、「このハゲ」「ばかかお前は」などの暴言も吐いたとしている。詳細なやりとりの音声データも公開。男性が、車内で録音したものだとしている。

 事務所関係者は取材に、この件を含めて豊田氏が5月19~21日の3日間に、男性の顔などを計7回、殴ったと証言。豊田氏は本人に直接謝罪し、男性はすでに退職したという。

 豊田氏は東大法学部卒。厚労省のキャリア官僚を経て、12年衆院選で、自民党の公募で埼玉4区の候補に選ばれ、初当選。当選2回で、15年10月から16年8月まで文部科学・内閣府・復興政務官を務めた。

 華麗なキャリアの半面、永田町では「秘書が居着かない議員」の1人で有名だった。ある党関係者は「秘書やスタッフを含め約4年半で100人以上が豊田氏のもとを去った」と話す。

 この日の新潮の報道を受け、自民党では二階俊博幹事長、豊田氏が所属する細田派の幹部らが集まり、対応を協議。執行部は、告示日を23日に控えた東京都議選への影響を懸念し、離党は不可避と判断。豊田氏に離党届提出を迫った。

 当初は「混乱状態」(関係者)だったとされる豊田氏。午後4時すぎに代理人を通じて離党届を提出。「一身上の都合」だが、暴行への責任を取った形だ。

 下村博文幹事長代行によると、豊田氏は精神的に不安定となり、入院したという。発言の数々は議員の資質以前の内容で、民進党の蓮舫代表は豊田氏の議員辞職を要求した。埼玉4区の補選も絡むため、執行部は難しい判断を迫られる。

 自民党では、12年、14年の衆院選で「追い風」で当選した若手議員の不祥事が続出。特に、安倍晋三首相の出身派閥でもある細田派は、「ゲス不倫」の中川俊直衆院議員(離党)、セクハラやじ、がん患者への心ない発言をした大西英男衆院議員らの所属先だ。首相は、豊田氏の離党届提出に「やむを得ない」との認識を示したという。

 首相の「お友達」が登場する加計問題の対応で、内閣支持率は急落。都議選への影響も避けられない。「安倍1強」への風向きは、明らかに変わりつつある。