2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長が10日、サッカー競技を新国立競技場で実施しない可能性があると明かした。国際オリンピック委員会(IOC)理事会の電話会議後、記者団に述べた。

 招致段階で、東京五輪招致委員会はIOCなどに新国立でサッカーの男子決勝を行うと説明していた。立候補ファイルでは男子マラソン、閉会式が20年8月9日、前日8日にサッカー決勝を行う予定。さらにサッカー決勝の前後には陸上トラック競技があるため、会場の転換が日程的に厳しいという。

 さらに、閉会式のリハーサルも新国立で行う必要があり現在、競技日程を調整中。武藤氏は「仮にサッカーの決勝も予選も行わなければ、新国立がサッカー会場から落ちることになる」と語った。

 武藤氏によると、日本サッカー協会(JFA)や日本スポーツ振興センター(JSC)がサッカー決勝を新国立で実施したい意向を示しており「諦めたわけではない」と話した。組織委関係者によると、決勝以外の準決勝、3位決定戦、予選の試合も含め、新国立で行えるかも検討中だという。

 また、武藤氏は新国立の後利用の方向性が決まる時期について「この秋に方針を出す方向で検討していると(IOCに)報告した」と説明。後利用は現在、政府が検討中だが収益性を高めるため、大会後はサッカーなど球技専用への変更案が有力視されている。

 6月30日に行われたIOC調整委員会でデュビ五輪は、新国立を大会後に球技専用にとする案に理解を示していた。同会議では、陸上サブトラックは組織委が新国立近くに仮設で整備し、大会後は撤去すると報告。サブトラックがなければ、陸上の世界選手権や日本選手権などの大規模大会は開けなくなるが、IOC側から異論は出なかった。