東京都の小池百合子知事が14日の会見で、豊洲市場に併設される予定の観光施設「千客万来施設」を計画通り整備すると明言したことを受け、運営事業者の「万葉倶楽部」(神奈川県小田原市)は「6月20日の(築地・豊洲共存案)発表と内容が何ら変わらず、何も分からない」と不快感を示した。同社は築地でも「食のテーマパーク」を再開発するとした案では採算性が合わないとし、同22日、都側に詳細な説明の要求と、場合によっては撤退するとの意向を示した。もうすぐ1カ月だが、市場当局からはいまだ説明がない。

 同社担当者は「5年後に仲卸業者が戻るとか言ってるが、市場が2つになるのかすらもはっきりしない」と困惑。募集要項の内容とも食い違っているとし「豊洲に築地場外市場のにぎわいをつくるため、我々が『場外関係者にも声をかけて』との内容だったが(共存案では)場外の人が豊洲に来るわけがない」と憤った。

 築地と豊洲に似通った施設ができるとの指摘に小池氏は「似通ったという主観はよく分からない」と一蹴。しかし、都の方針転換や抽象的な計画案により従来の計画を進めてきた豊洲、築地関係者の混乱は広がるばかりだ。