埼玉県東松山市の都幾川(ときがわ)河川敷で昨年8月22日、アルバイト井上翼さん(当時16=吉見町)を集団暴行し、溺死させたとして、傷害致死罪に問われた無職少年(17)の裁判員裁判初公判が21日、さいたま地裁(佐々木直人裁判長)で開かれた。少年は「間違いありません」と認めた。起訴状によると、少年は他の4人と共謀し、昨年8月22日午前2時50分ごろから同4時45分ごろ、井上さんを全員で殴る蹴るなどし、意識混濁の井上さんの顔を川に沈め、溺死させたとしている。逆送された別の少年(18)は懲役6年以上9年以下の不定期刑。中学生だった3人は少年院送致の保護処分が確定。

 検察側は全員で暴行し、救急車を呼ぶ提案も少年ら年長者2人が反対したと指摘。「暴行は執拗(しつよう)、強烈で被告の役割は主導的」として、例外的に保護処分とする理由はないとした。弁護側は、暴行後に缶入りアルコール飲料を顔に掛け、川に沈めた行為を「意識を取り戻すため」とし、少年の家庭環境と持病の糖尿病が影響しているとして、少年院での保護処分が相当と主張した。

 井上さんと交際していた女性(17)は傍聴後、「謝罪すらなかった。全員許せない。1年たっても思いは変わりません」と話した。