2020年東京五輪の聖火リレーの出発地に名乗りを上げる宮城県石巻市が、64年東京五輪で使用した聖火台の貸与期間延長を求め、日本スポーツ振興センター(JSC)に要望する方向で調整していることが1日、分かった。期限は19年3月のため、20年東京大会までの延長を求める方針。

 14年9月、同市とJSCが覚書を締結し「震災復興のシンボル」として貸与された。当時、新国立競技場の完成時期が19年3月だったため、同時に新国立に返還すると決めた。しかし同市は、20年度に津波被害を受けた沿岸部に「復興祈念公園」を整備し、同公園に聖火台を移動してリレー出発地としたい計画があり、貸与延長が必要だった。

 先月22日、同県の村井知事が小池都知事、鈴木五輪相に同市がリレー出発地となるよう要望。しかし、組織委員会は公平性の担保を理由に受け付けなかった。

 組織委の森喜朗会長は先月31日のスポーツ議員連盟の会議で「出発地にするために聖火台を石巻に持っていったわけではない」と苦言を呈した上で、製造元の鋳物工場があった埼玉県川口市に1度戻し「お色直しして新国立に返すことになっている」と発言。聖火台問題が再燃していた。

 関係者によると、同市はリレー出発地を実現するため、聖火台があることが望ましいとする一方、聖火台がない場合でも出発地を目指す考えだという。