「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

   ◇   ◇   ◇   ◇

<質問>

 小6の長男がやらなければいけないことをなかなかやらず、困っています。宿題だけではなく、起床も登校も時間ギリギリ。下校しても、「宿題は?」とこっちが促さない限り、机に向かいません。こんな「グスグス脳」を「すぐやる脳」へ変える好手はありますでしょうか?

(41歳 主婦 山梨県)

 

<回答>

 先週は病気のためお休みして申し訳ございません。今週から元気に復帰しますので、ドシドシ質問をお寄せ下さい。おそらく、このお子さんは夜更かしもしているんじゃないでしょうか? 遅くまで起きてテレビを見ていたりすると、朝も起きづらいはずです。生活がだらだらしていると、どうしても「グスグス」してしまいます。

 私にも経験があります。40歳の頃、朝起きても「2時間ぐらいボンヤリしててもいいか」と思っていました。心境の変化で、「まずお祈りして1日を始める」「今日の行動を順序立てて計画性を持つ」と精神を整えることで、何事にも積極的に取り組むようになりました。

 棋士は普通、午前10時から対局があります。ある後輩は、「人の脳は4時間後に働き始める」と聞きました。そこで、毎朝6時に起き始めると、勝率が良くなったのです。

 起床時間を決め、歯磨き、洗顔などのルーティンワークをこなす。登校したら、クラスのみんなと遊ぶなどの楽しみがあるといいでしょう。

 私の小学生時代は、授業前にドッジホールや野球などをするのが楽しみで早起きして登校したものです。中学時代は15分間の英語の朝勉強も楽しかったですよ。

 お母さんにもお願いがあります。「宿題は?」とせかすだけではなく、宿題の手伝いをしてみてはどうでしょう。親子で興味を持てば、勉強が面白くなるかも知れません。学習のヒントなどを与えてもいいでしょう。

 それと、成績が上がったら東京ディズニーランド(TDL)や東京スカイツリーなどの行楽地に連れて行ってあげるといった「ご褒美」をたまには用意してあげてください。「ニンジン作戦」は、意外に効果的ですよ。

 ◆募集 日刊スポーツでは、「ひふみん」の愛称で人気の将棋棋士・加藤一二三(ひふみ)九段(77)への質問を募集しています。▼郵便=〒104・8055日刊スポーツ新聞社編集局文化社会部▼ファクス=03・5550・8828▼メールsoudan@nikkansports.co.jp。それぞれ「ひふみん」係へお願いします。皆さんのお悩みをたくさんお寄せください。