「ひふみん」こと、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)九段(77)が、あなたのお悩み相談に答えます。

 14歳でプロになり、今年6月に引退するまで63年間、勝負の世界に身を置いてきました。敬虔(けいけん)なキリスト教徒として30歳で、洗礼も受けています。生きる厳しさと、聖書の教えをベースに、指導対局ならぬ、人生指南をしてくれます。毎週水曜日に掲載します。

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<質問>

 結婚して8年、なかなか子供ができません。最初は2つ上の夫とともに、「自然に授かれば」と思っていました。授かる知り合いが増え始め、「欲しい」という気持ちから焦り始めました。体外受精も2度チャレンジしましたが、体に対する負担と、共働きで1回30万円の料金は厳しいです。たとえ1人でもと思いますが…。(37歳女性 会社事務員 神奈川県)

<回答>

 子供を授からなかったご夫婦が、旅行に行ったら授かったという例はよく聞いています。気分転換で発展性があるようですから。

 キリスト教徒として有名な巡礼地に、フランスのルルドという街があります。「奇跡が起こる」とよく言われます。結婚して18年間授からなかったご夫婦が、巡礼したら授かったという例もあります。私は、将棋でタイトル獲得という大きなお恵みを頂きました。教徒であろうがなかろうが関係なく、奇跡が起こるという言い伝えから、旅行会社のツアーにも組まれているくらいです。

 また、イタリアには「子授けの聖母の教会」というのがあるようです。

 キリスト教で避けることは、「みじめな人生だから救われるはずがない」と思うことと、「努力を重ねて完璧だ」と思い上がることです。神の愛は人の失敗より大きく、修行を続けて偉大な人でも謙虚であるべきだと、説いています。

 どうしても負担がかかるようなら、「何歳まで」と線引きした方がいいかもしれません。子供がいらっしゃらなくても、幸せな生活を送られているご夫婦はいらっしゃいますから。

 海外に多いのですが、養子をもらって育てるというのは社会的にも貢献度が高いです。英国のベッカム選手も行っています。参考にしてください。

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