ノーベル文学賞を受賞するカズオ・イシグロさん(62)が出席する来月10日の授賞式を前に、文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーに激震が走っている。AFP通信やAP通信などによると、アカデミーに近いスウェーデンの文化界の重鎮男性に、レイプされたり性的暴行を受けたという女性18人が、21日付の同国大手紙で告発。男性は同紙に疑惑を否定したが、アカデミーは23日に緊急会議を開催。来月10日の授賞式後に行われる晩さん会に出席予定だった男性を、来客リストから削除した。

 地元報道などによると、女性たちは96年から今年までの間に被害に遭ったという。スウェーデンでは推定無罪の原則により、男性の氏名は公にされていない。しかし、同国のアリス・バー・クンケ文化相は「2015年に北極星勲章を男性に授与したことを後悔している」と話した。

 男性が運営する文化センターは、アカデミーから年間1万5150ドル(約174万円)の資金提供を受けていた。しかし、問題の発覚を受け、アカデミーは「アカデミーメンバー、その娘、妻たちが、男性から望まぬ関係や不適切な行為を経験した」と発表。男性のセンターに対する資金提供も即刻打ち切った。