東京都江東区の富岡八幡宮で女性宮司の富岡長子さん(58)らの殺傷事件で、7日夜の事件後最初の日曜となった10日、現場の富岡八幡宮には多くの参拝客が訪れた。事件を受け参拝客の減少も懸念されたものの、地元住民らによるとこの日のにぎわいは「いつも通り」。地域は徐々に平穏を取り戻しつつあるが、毎年約30万人が訪れる正月に向けては不安の声も上がっている。

 富岡八幡宮の門前町として栄える「深川仲町通り商店街」。永代通り沿いの約800メートルに130店舗以上が店を構える。年末年始には夜店も出店され、アーケードは多くの参拝客でにぎわうが、同商店街の石島龍治理事長(77)は「今は、事件報道を受けて物珍しさで訪れている人がいるからそれほど変わらないが、初詣の時期にどれだけ減るか分からない」と不安顔。事件については「本当に信仰心のある人は迷惑していると思う」と述べた。

 同商店街では、毎年1月3日に組合員40人ほどで八幡宮の神殿に入り、新年のあいさつやおはらいなどを行っている。来年も継続して行う予定だと言うが、石島理事長は「総代の幹部などで相談しているとは思うが、神社が今後どうなるのか分からない」。また氏子関係者の70代男性は「(事件で)迷惑しているのは周辺のお店の人。例年なら12月30日から周辺は参拝客でいっぱいだが、今年は間違いなく減るだろう」と心配そうに話していた。【太田皐介】