大みそかのカウントダウンや歳末セールの買い物客でにぎわう渋谷センター街で、ビル火災が発生した。12月31日午後1時半ごろ、東京都渋谷区宇田川町の4階建てビルから出火、2~4階の約135平方メートルが全焼した。警視庁渋谷署によると、60代ぐらいの男性が屋上から隣の建物に飛び移り、腕の骨を折った。命に別条はない。

 同署などによると、2階の飲食店が火元とみられ、30代の男性が店長という。出火時は営業時間外で、男性は渋谷署に「厨房(ちゅうぼう)付近から出火した」と説明。東京消防庁によると、隣の9階建てビルの看板と、5階建てビルの外壁30平方メートルも燃えた。出火元のビルも含め、火は約5時間半後に鎮火した。

 午後2時ごろに現場を目撃した40代の男性会社員は「消防車から放水しており、一時、周りのビルが見えないほどの煙が出ていた。周辺も人だかりで騒然としていた」と話した。

 現場は、大みそかには新年のカウントダウンを祝う若者たちが集まる渋谷スクランブル交差点に近いセンター街の一角。近くのブランドショップに買い物に来たという女性は「規制線で入れない。毎年、名古屋や大阪の系列店に行くが、今年は東京の店でと思ったのに」と残念そうに話した。

 出火したビルは1階が生花店、2階にブラジル料理などを出す飲食店、3、4階に占い店が入っていた。火災を受け、センター街には広く規制線が張られ、地元消防団が現場先の目的地へ急ぐ大勢の買い物客らの道案内に追われた。