公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が11日、大阪市の関西将棋会館で指された第31期竜王戦5組初戦で中田功七段(50)を80手で破り、18年初白星を挙げた。公式戦通算は56勝11敗。

 中盤から積極的に攻めた藤井は「難しい将棋でした。相手の玉との距離感が分からなかったので、勝ちと思ったのは最後の最後でした」と振り返った。今年初白星に「前回の王位戦は敗れてしまったので、これでスタートが切れました。今年もいい1年になるように頑張っていきたい」と笑顔を見せた。

 佐藤天彦名人の師匠としても知られる中田は昨年7月の順位戦C級2組の対局に続き、藤井に黒星を喫した。「新年初めの対局が藤井さんでラッキーだなと思い、モチベーションを上げてきた。非常に難しい将棋でした。完敗です」。

 竜王戦は現役全棋士と女流棋士2人、アマチュア4人が参加。1組から6組まで格付けしてトーナメントを実施。勝ち抜き人数は1組から順に優遇し、本戦トーナメントに出場できるのは1組上位5人、2組上位2人、3、4、5、6組各上位1人の計11人。本戦トーナメントを勝ち抜けば、国民栄誉賞受賞が正式に決まった羽生善治竜王(47)に挑むことになる。

 遠い道程となるが「(羽生竜王は)私が将棋を始めるずっと前から活躍してこられた。プロになった以上は大きな目標として、少しでも近づきたい」と意気込んだ。

 次戦は14日、朝日杯将棋オープン戦で澤田真吾六段(26)と対局する。「注目していただける舞台なので、全力を尽くしたい」。勝てば同日午後の準々決勝で佐藤天彦名人と永瀬拓矢七段の勝者と対戦することになる。藤井が優勝すれば、1955年に加藤一二三・九段が六・五・四段戦(現在は廃止)で記録した15歳10カ月を超える史上最年少での一般棋戦優勝を果たすことになる。