加藤勝信厚生労働相は26日の衆院予算委員会で、裁量労働制をめぐる厚労省の不適切データ問題で、新たに疑いが生じているデータが233件見つかったことを明かした。先週、野党の指摘を機に表面化した117件を合わせると、計300件を超えることになり、不適切なデータが「ぼろぼろと出てきている」(立憲民主党の長妻昭氏)実態が、あらためて露呈した。

 野党側は、データのもとになった労働時間調査に致命的なミスがあり、調査そのものの信頼性が失われたとして、裁量労働制を盛り込んだ働き方関連法案の今国会提出を撤回するよう要求。安倍晋三首相は、与党側の審査もまだ終了していないと強調したが、加藤氏は「最終的には提出していきたい」と述べ、調査内容に関する第三者によるヒアリングにも慎重な姿勢を崩さなかった。

 この日のやりとりでは、希望の党の玉木雄一郎代表が自身の質問中、首相の態度に激怒。「人が死んでいる話(がテーマ)なのに、なんで笑えるのか。そんなにおかしな質問か。許せない!」といきり立つ場面も。首相は「あまりにも興奮されるから。落ち着いて議論しましょうよ」と釈明したが、野党側は首相や加藤氏から法案撤回の言質を取れず、議論もかみ合わなかった。【中山知子】