2020年東京五輪(オリンピック)・パラリンピック大会組織委員会は9日、五輪チケット販売へ向けてのスケジュールを公表した。

 7月に販売価格などを国際オリンピック委員会(IOC)に承認を得て、来春に一般販売を開始する予定。今月11日にチケット価格などを話し合う有識者会議を開き、東京大会の価格やターゲットなどを話し合う。

 価格は一般の観客にとって大きな関心事項となる。組織委の資料によると割引チケットを除き、12年ロンドン五輪の最高販売額は開会式の約28万9730円(2012ポンド)、最低額は陸上、バスケットボール、バドミントン予選などの約2880円(20ポンド)だった(1ポンド=144円、17年2月24時点)。

 16年リオデジャネイロ五輪では最高額が開会式の約16万1000円(4600レアル)、最低額がホッケー、サッカー予選、レスリング予選などの約1400円(40レアル)だった(1レアル=35円、同)。

 組織委によれば、価格帯は各国の経済・物価事情が深く関わるというが、五輪チケットが「高すぎる」という批判もある。担当者は「より多くの皆さまに来ていただける価格帯の設定も心がけたい」と話した。

 組織委にとってチケット売り上げは収支均衡の予算達成のためにも重要課題となる。立候補ファイルでは、五輪で780万枚・773億円、パラリンピックで230万枚・47億円という売り上げ計画を立てた。プロ野球1球団が1シーズンで約200万枚といい、東京大会ではその4、5年分を約1カ月間で販売する計算になる。

 ロンドン大会では1080万枚・1037億円、リオ大会では821万枚・509億円(前出為替レート)の売り上げだった。特にロンドン大会は成功例として挙げられ、五輪が販売率97%、パラリンピックが同98%だった。

 また、組織委は「企画チケット」の計画も検討中。ロンドン大会では「ペイ・ユア・エイジ」と題して、子どもたちの年齢に応じた価格で販売するというユニークな施策を実施した。1~16歳が対象で、全競技ではないものの220種類で適用された。東京大会でも、子ども向けや学校単位、付加価値をつけたチケットの企画を今後、練っていく。