安倍晋三首相は11日の衆院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、「首相案件」などと書かれた愛媛県職員作成の「備忘録」に対する論評を避けた。自身の関与や学園の要請を否定した上で、記憶を根拠に「首相案件」発言を否定した柳瀬唯夫経産省審議官を「信頼する」と主張。記録より記憶を“信用”した。野党は、県職員、柳瀬氏の「証人喚問対決」を提案。与野党の怒号、首相秘書官のやじまで乱れ飛ぶ騒然とした審議で、安倍政権は疑惑を晴らすことができなかった。

 この日の集中審議では「場外乱闘」が続発。日ごろ発言しない首相秘書官まで、やじに“参戦”し、やじを受けた希望の党の玉木雄一郎代表が「分をわきまえてほしい」と激怒する場面があった。加計学園の学部設置を知った時期を首相に詳細に質問する玉木氏に、秘書官が「違う」などと叫んだ。秘書官は首相への耳打ちと釈明したが、玉木氏は「あなたはだれだ」と秘書官をにらみ、一気に険悪な空気に。野党席からも「帰れ」と怒号が飛んだ。

 一方、立民の枝野氏や玉木氏は、河村建夫委員長の采配に異議を唱えた。両氏が質問を止める中、河村氏が速記を止めず審議時間が進行。枝野氏は「あなたは指名するだけが仕事ではない」と声を荒らげ、与野党理事がもめる中、持ち時間が終了した玉木氏は「終わりですか?」と絶句した。