将棋の羽生善治竜王(47)が12日、通算1400勝を達成した。前日からの2日制で東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われた第76期名人戦7番勝負第1局で、午後8時22分、97手で佐藤天彦名人(30)に先勝した。初日の午前中から激しく駒がぶつかる激戦を制した羽生は、「ギリギリの勝負で、最後の最後まで分からなかった」と振り返った。

 今年1月の国民栄誉賞決定時の会見で、羽生は1400勝を直近の具体的な目標として上げていた。竜王対名人の「頂上対決」初戦で有言実行した。「対局中は無我夢中で指していた。意識することはなかった」と話した。通算勝利数のトップは、故大山康晴十五世名人の1433勝。2位につけるが、「まだまだ1局ずつ戦うだけ」と慎重だ。

 名人は2年前、佐藤に奪われている。3年ぶり通算10期目の獲得に向けても、好発進となった。現在獲得したタイトルは、全部で99期(名人9期、竜王7期、王位18期、王座24期、棋王13期、王将12期、棋聖16期保持)。奪還すれば通算100期となる。1400勝という区切りの勝利をステップに、「励みに前に進んで行けたら」と気を引き締めていた。