小泉純一郎元首相(76)は14日、9月に予定される自民党総裁選で、安倍晋三首相が目指す3選は困難になったとの認識を示した。

 「まあ、難しいだろうな。信頼がなくなってきている。何を言っても言い逃れに取られてしまう」と述べ、森友、加計学園問題などでの首相の対応が、国民に不信感を与える結果になっているとの認識を示した。

 茨城県水戸市で講演後、取材に答えた。

 小泉氏は自身の首相時代、安倍首相を自民党幹事長に抜てきした。06年9月に首相を退任後、第1次安倍政権が発足した経緯もあり、小泉氏と首相は「師弟関係」にある。その小泉氏が、総裁選3選で長期政権を目指す首相を突き放したことは、今後の政治情勢に大きく影響しそうだ。

 小泉氏は、首相の政権運営に配慮し、政局に絡むような発言はなるべく控えていた。それだけに、公の場で「3選困難」発言をしたことで、ついに「倒閣」に動き始めたとの見方が、永田町で出ている。

 小泉氏は、首相が国会で、森友問題をめぐる国有地売却を追及されたことを念頭に、「『関わっていれば首相も議員も辞める』と発言したことに、端を発した」と指摘。昭恵夫人が、森友学園が設立を目指した小学校の名誉校長に一時就任したことを引き合いに「名誉校長をしていながら、なぜ関係ないと言えるのか」とも述べ、夫人が名誉校長に就任した時点で、学園と関わっていたことになるとの認識を示した。

 また、加計学園をめぐる「愛媛文書」に関し、文書を作成した愛媛県職員と、「首相案件」と発言したとされながら、「記憶にない」と否定する柳瀬唯夫・元首相秘書官との間で主張が対立していることにも言及。「記録と記憶。記録の方が正確と思っている人の方が、圧倒的に多い。人間、記憶にないことはあるが、記録、残っちゃっているんだから」「記録が残っているというなら、そちらを信用せざるを得ない」と述べ、記憶を根拠にする柳瀬氏の主張を疑問視した。