学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日午後、午前の衆院予算委員会に続き、参院予算委員会に参考人招致された。

 柳瀬氏は、日本維新の会の片山大介氏から、加計学園関係者と15年3月、4月、6月に面会していた件を隠していたことについて「総理を守るためだったか?」と聞かれ「全く違います」と反論した。

 片山氏は、まず17年8月に朝日新聞が、柳瀬氏が加計学園関係者と会ったと報じた際「会っていない」と答えたのはウソだったのか? と質問した。柳瀬氏は「車から家までの、歩きながらの10メートルくらいの間の会話で、詳細は覚えていませんが、国会で聞かれたことは国会の決められた枠の中で答えることだと思った。今日、こういう機会をいただいたので私の全てを申し上げた」と答弁した。

 片山氏が、さらに「加計学園の責任者と3回も会ったことは会い過ぎではないか? その件を安倍首相に全く報告しなかったことは、いかがなものか」と質問すると、柳瀬氏は「あなたは2回、会いましたから会いません、1回なら会わないとかはない。外の方は申し入れは少ないが、お断りはしていない。何回、会うかという問題ではなく、総理秘書官が(関係各位と)会うのは、総理にご判断いただく必要があるか、というところでございまして」と答弁。その上で「当時は(国家戦略特区の)制度論の入り口のところをやっておりまして。具体的な案件について総理に上げる必要性を私は全く感じなかった」と言い切った。

 片山氏が「忙しい中、自分の判断だけで3回も会う?」と追及すると、柳瀬氏は「いちいち、この方とお会いして良いですか? と総理にお会いすることはございません」と返答。片山氏から「それこそ忖度(そんたく)」と追及されると「お会いして特別扱い、配慮することは全くございません」と否定した。

 さらに「3年前の4月に、複数の人間が同席して、メモのような証拠も出てきて、それでも会っていないという表現をしていた。どう考えても、その背景には加計学園が総理案件ではあると思われないよう、総理を守るためだったか?」

「全く違います」と反論。「会ったことが分かったら問題になると思った?」と聞かれると「私は制度論を議論する過程で、ポイントになった方にお会いした、それ以上でもそれ以下でもない」と言い切った。

 「17年1月に加計学園が選ばれたのを聞いた時、官邸を離れた中、どう思ったか?」と聞かれると「あぁ、そうなんだなと思いました」と答えた。