北朝鮮による拉致被害者家族連絡会元副代表で、拉致被害者・蓮池薫氏の実兄の蓮池透氏(63)が16日、文化放送「斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI!」(月~金曜午後3時半)に生出演した。蓮池氏は、12日にシンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談について、思うところを語った。

 蓮池氏は、金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に対して「安倍晋三首相と会ってもいい」などと語ったことを受けて、機運が高まる日朝首脳会談について「現状のままで日朝首脳会談をやっても過去の繰り返しになると思うんですね。『全員返せ』『いや解決済みだ』と、そういう水掛け論で終わってしまう気がします」と、打開策がなければ、意味のないものになる可能性が高いと指摘した。

 その上で、「じゃあ『解決した』と言わせないためには、日本独自の情報、インテリジェンスを持っていることが必要で、『誰々が北朝鮮のどこどこにいる』という情報をつかんでいることを水面下で北朝鮮側に示して『解決済み』とは言わせない、そのインテリジェンスを日本政府が持っているかどうか、それにかかってると思います。でなきゃ道は開けないと思います」と日本政府に注文を付けた。

 また拉致被害者の家族たちが14日、安倍晋三首相から米朝首脳会談の内容などについて説明されたことを受けて、支援団体「救う会」が開いた会見の中で「安倍総理が話したことはオフレコにしてほしい」と言われたと明らかにした件について政府側を批判した。

 蓮池氏 オフレコでお願いしたいというのはもう外交にとっては当たり前の話で、それをあえておっしゃるということは、ちょっと意味がよく分からない。(中略)自分たちのルートをどうするかとか、あるいは北朝鮮に対するどんなカードを用意するかという話じゃなくて、もうトランプに丸投げしちゃって、それでトランプがリップサービスで言ってくれて、それで喜んでいる。でも結果的には共同宣言には何も触れられていなく、そういう状況ですから。

 蓮池氏は、その上で「むしろ僕はご家族の方にはもう少し、オフレコだという以上はもう少しでも、聞かれちゃまずいけども、誠意を込めた具体策があっていいんじゃないかという気がします。(中略)今までも、私の経験から、外務省とか国から聞いたことはないですし、いずれも報道が先で、あとで外務省なり内務省なりに説明を受ける、ずっとそうでしたから、オフレコっていうことはよく分からないですね」と批判した。