女性装の東大教授として知られ、8日に投開票が行われた埼玉・東松山市長選挙に立候補した無所属の新人安冨歩(やすとみ・あゆみ)氏(55)は、3選を目指した現職で自公推薦の森田光一氏(65)に敗れた。

 昨年7月、同市に移住。今年5月に地元の人たちから打診され、大学から有給休暇をとって立候補した。「子どもを守る。社会を変える」をスローガンに、学校給食の無料化や国民健康保険の引き下げを訴えた。選挙戦も風変わりで、名前を連呼せず、ちんどん屋らと路上ライブを行うなど、従来の方式では戦わなかった。脅威に感じたのか、森田陣営には7日、自民党の竹下亘総務会長が応援にやってきた。

 安冨氏は「準備に1週間、地盤ゼロ。大きな組織に立ち向かったが、名前を書いてくれた人がいた。もう1週間あったら勝てたかも。4年後に出るかは分からない。この街に生まれた人で、自分のスローガンを掲げて立候補する人がいれば応援する」と話した。