東京都の小池百合子知事は13日の定例会見で、西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市の伊東香織市長からの要請で、乳児用液体ミルク2000個を緊急調達して、同市に送る意向を明らかにした。

 液体ミルクは水で溶く必要がなく、常温で長期間の保存も可能で、災害時の利便性が注目されている。小池氏は「こういう時にこそ、液体ミルクが活躍する。倉敷市長から2000個を求められており、これから提供する。今後も被災地の要請に応じて、都として必要な支援をしていきたい」と述べた。

 東京都は流通大手イオンとの間で、災害発生時に乳児用液体ミルクを海外から緊急調達するための協定を結ぶことを決めており、この日、都庁で協定書の取り交わしが行われた。

 小池氏は協定式で「今まさに、液体ミルクのニーズが出てきた。こんなタイミングになるとは思わなかったが、ある意味、タイムリーだ」とした上で、「災害時は、いつも普通にあるものがなくなってしまう。赤ちゃんを持つ方は不安で、母乳が出なくなるお母さんもいると聞いた」と述べ、災害時の乳児用液体ミルクの必要性を強調。一方、イオンの三宅香・環境・社会貢献・PR・IR担当執行役は「日本では液体ミルクのことはまだ知られておらず、知ってもらえるきっかけになれば」と述べた。すでに、緊急調達のための手配も済んだと報告した。

 小池氏は、国会議員時代から乳児用液体ミルク普及の必要性を訴えてきた。東日本大震災や熊本地震の際には自身で海外から調達し、被災地に送るなどの支援をしてきた経緯がある。

 液体ミルクは海外では流通しているが、国内では安全性を担保するための規格基準がなく、これまで企業による製造、販売が認められてこなかった。厚労省は今年3月、企業の製造、販売に向けた規格基準の案を示し、将来的には国内の流通も可能になる見通しだ。