史上最年少プロ棋士、藤井聡太七段(16)が28日、大阪市の関西将棋会館で指された第49期新人王戦で、八代弥(わたる)六段(24)を破り、ベスト8に進出した。若手登竜門の新人王戦は六段以下などの参加条件がある。藤井は出場が決まった時点では条件を満たしていたが、異例のスピードで3段階の昇段を実現したため、今期がラストの新人王戦となる。通算成績は84勝15敗。

 ラストチャンスは逃さない。終盤の激しい攻め合いを制した藤井は「ずっと苦しい展開が続いていた。最後、攻め合いになっても難しかった」と振り返った。

 新人王戦の歴代優勝者には羽生善治竜王、森内俊之九段、佐藤天彦名人、菅井竜也王位らトップ棋士が名を連ねる。準々決勝は近藤誠也五段(22)と対戦する。昨年の新人王戦では準々決勝で敗れているだけに「新人王戦は最後の機会になる。少しでも上に進みたい」と意気込んだ。

 高校生活初めての夏休みが始まった。19日に16歳の誕生日を迎え、目標を立てた。「本当に強くなる上でも大切な1年になる」。この夏休みの自由な時間は将棋の研究に当てる。「いままで以上に(将棋に)打ち込みたい」。だれもがほしい新人王。ラストチャンスは必ずモノにする。【松浦隆司】