「我慢なし、ストレスなし、誰でもできる」をテーマに健康体をつくる食習慣を提案する会社「結わえる」の荻野芳隆社長(38)をインタビューした。同社は主力商品「寝かせ玄米」を通じ、摂取カロリーばかりを気にする誤った食の知識を改め、必要な栄養素を確実に取る正しい健康法を提案。今秋、大手百貨店高島屋でも販売するに至り、「寝かせ玄米」はブーム前夜といった様相だ。
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「寝かせ玄米」を食べてみる。これが玄米? というほど、おいしい。荻野氏は、普通に炊いたら、いまいちだった玄米をおいしく食べられる方法を編み出した。大学卒業から1年後の05年、コンサルティング会社に勤めるかたわら、玄米の底力に注目した。
荻野氏 家にいろんな玄米、いろんな炊飯器を買って、さまざまな炊き方を試しました。24時間浸水させたり、あらゆる火加減を研究し、日本中の玄米を出すお店を渡り歩きました
その結果、たどり着いたのが、圧力鍋で炊く方法だった。圧力によって玄米の硬い皮を柔らかくし、炊いたものを炊飯器に移し、保温状態で3、4日寝かせる。すると、もちもちになり甘味うま味が増し、臭みのない、おいしい玄米が完成した。もちろん炊いた直後から食べ、日を追うごとに変わる味を楽しんでも良い。
玄米とは、もみ殻を取った後の段階で、ぬかや胚芽が付いたままの状態。味重視でそれらを取ったものが白米だが、「栄養素を捨てていてもったいない」と話す。比較すると、カロリーはほぼ同等にもかかわらず、ミネラルは数倍、ビタミンは2~12倍、食物繊維は6倍も玄米の方が多い。「これら副栄養素をしっかり取れば、カロリーは関係ない」と言い切った。
腹持ちも良く「1日2食で良い」という。そして朝食を抜くことを提案する。
荻野氏 人類を含めた動物は昔からずっと飢餓との闘いでした。そのため人間は飽食に慣れていなくて、空腹の方が慣れている。今の時代は「食べすぎ」で、胃腸に負担を掛けすぎていて、消化・吸収・排出に手いっぱいとなり、修復・新陳代謝が後回しにされています。まさに「胃腸のブラック企業」であり「胃腸の働き方改革」が必要です。1日12時間ほど休めるのが良い。すると一番楽なのが、朝食を抜くことです。ただ、子どもは朝食は食べた方がいい。あくまでも大人の話です
その上で「基本食」「快楽食」のメリハリを提案する。基本食は「玄米6:野菜3:肉魚1」、快楽食とは飲酒、スイーツ、ラーメンなどの、おいしく幸福感をもたらしてくれるが、体には負担をかけるものを指すという。荻野氏によれば基本食を7割、快楽食を3割とすれば十分な副栄養素を摂取でき、老廃物が除去できる。
荻野氏 戦後60年で米の消費が半分になり、逆に肉の摂取量が5倍になった。その結果、肥満や生活習慣病も増えた。一方で日本人1人1日あたりのカロリー摂取量は1946年と2004年でほぼ同等の約1900キロカロリー。それなのに肥満度は上昇しています。カロリーばかり気にしても仕方がない証拠。そろそろ、感覚的な快楽や経済性を求めた判断基準のライフスタイルではなく、持続可能だった日本の伝統的な生活文化に立ち戻るべきではないでしょうか。【三須一紀】
▼寝かせ玄米は自身で炊くのが大変だという人のためにパック製品(300円前後)5種類が販売されている。快楽食の後に玄米同等の副栄養素が取れるサプリメント「醗酵5」(1箱20包3240円)がオススメだ。飲食・物販が楽しめるのが台東区蔵前の「結わえる本店」。物販店舗は「いろは」という店名で、日本橋高島屋、渋谷ヒカリエ、WACCA池袋、仙台アンダンチ、仙台パルコ(11月22日開店)、関東圏のナチュラルローソンなどがある。また、インターネットでも販売している。
◆荻野芳隆(おぎの・よしたか)1980年(昭55)4月4日、埼玉県所沢市生まれ。明大政経学部を経て、04年に船井総研入社。食品、健康関係のコンサルに携わる。09年に結わえる創業。来年2月に10周年を迎える。

