★保守とは何かと問われれば、学術的な定義も含めて色々説明できそうだが、似て非なるものに「ネット右翼」(ネトウヨ)というものがある。巷間(こうかん)ではその人たちの「サナエ推し」が先の総選挙で自民党の圧勝を導いたという。「推し」とは人に薦めたいと思うほどに好感を持っている自分がひいきにしている対象を指すが最近は「何をやっても応援したい」という意味も加わるという。3日の憲法記念日に日本武道館で歌手・女優のキョンキョンこと小泉今日子のライブ「KK60~コイズミ記念館」があった。芸能界からも絶賛のコメントが寄せられているが、ライブ開始前に憲法9条の朗読があった。エンディングでは会場で放出された銀テープに「戦争反対! 平和な世界希望!」と書かれていたという。これを気に入らない人たちが騒がしい。

★「左翼とは知らなかった」「コンサート会場でやるのは公私混同」「政治を持ち込むな」「純粋に音楽を楽しみたいのに」と会場にいたかいないか知らないが「気に入らない」とネットに書き込まなくてはならない人が多くいる。そもそも我が国の憲法を憲法記念日に、それもライブが始まる前の会場に流れた朗読は、気づかなかった人や遅れてきた人は知らなかったそうだ。加えて「平和な世界を」「戦争反対」は世界中の誰もが希求するものだと思ったが、戦争賛成の人がいるということなのか。そこに政治も左翼も右翼もあるのだろうかと思うが、鬼の首を取ったようだ。自民党大会という政治集会で自衛官が制服で国歌斉唱するのは紛れもなく法を犯しているが、そこはとがめない。キョンキョンに違法なところはあるだろうか。

★8日付朝日新聞は東大との共同研究で「感情温度」を問うた。政治家は嫌いだが政策は賛成。その逆もある。そこに感情があるわけだが、昨年の参院選、今年の総選挙で大いに役割を高めた「推し」または「推し活」は清濁併せのんで応援するものだと思ったが、なかなか理解しがたい使い分けがあるようだ。つまりキョンキョンに「音楽以外の発言は許さない」「憲法記念日に憲法の朗読は誰であろうと許さない」と言いたいのか。それは「推し」ではなかろう。一方大ファンではなかったが、これでキョンキョンを大好きになった人も多いはずだ。(K)※敬称略