東京地検特捜部は19日、日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)を、同社の有価証券報告書に自らの役員報酬を約50億円少なく記載した疑いがあるとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕した。

ゴーン容疑者の逮捕を受け、日産自動車は19日夜、横浜市西区の本社で会見を行い、西川広人社長は「内部調査で大きく3つの不正の事実を確認した。会社として断じて容認できる内容ではない。専門家も解任に足りる重大な不正だとしており、解任を決断した」と述べた。

西川社長は「ガバナンスの問題として猛省すべき」とした上で「長年、ゴーンの率いる日産としてサポートしていただいた関係者、株主、取引先のみなさまの信頼を大きく裏切ることになったことが残念であり、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と謝罪した。

内部調査はほとんど終了という。検察当局との司法取引の有無は回答を避けた。一方でゴーン容疑者に対する聞き取りなどの社内調査が行われたのかどうかは「お答えしないほうがいいのでは」と明らかにせず、「ゴーン容疑者の弁明を聞いたか」との質問にも「私は直接聞いていない」と話すにとどめた。

長期にわたる不正をなぜ見抜けなかったのか。事件の背景として、西川氏は詳細は話せないとしながら「(ゴーン容疑者が)長年、実力者として君臨してきた弊害は大きい」と話した。

◆日産自動車 横浜市に本社を置く自動車メーカー。国内ではトヨタ自動車、ホンダに次ぐ第3位の規模。フランス大手ルノーと資本関係があり、16年には燃費不正問題で経営が悪化した三菱自動車を傘下に収めた。ゴーン会長がたばねる3社の企業連合の販売台数は、世界2位を誇る。