お台場のガンダム立像をめぐり、取引先の施工業者と共謀し、イベント工事の代金を水増し請求させて約1千万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、大手玩具メーカー「バンダイ」(東京都台東区)の元社員で職業不詳の宇田津貴志(44)と無職の黒川貴夫(66)の両容疑者を逮捕し、18日発表した。逮捕は17日。

警視庁によると、2人の逮捕容疑は、2013年7月中旬から8月中旬にかけ、バンダイが発注した東京・お台場に立つ高さ18メートルの「実物大ガンダム立像」のイベント工事の代金をだまし取る目的で、施工業者に水増し請求を指示した上で作成した見積書を添付した稟議(りんぎ)書をバンダイに提出し、取引先の施工業者の口座に振り込まれた工事代金のうち、上乗せ分の約1000万円をだまし取った疑いが持たれている。

親会社のバンダイナムコホールディングスによると、宇田津容疑者の不正は2017年8月29日に、国税当局からの税務調査の過程で発覚したという。同社は、外部弁護士を含めた内部調査委員会を立ち上げ、調査の結果、同容疑者が13年から17年にわたり、約2億円を不正に搾取していたことが判明。宇田津容疑者を同10月17日付で懲戒解雇した。当時、同容疑者はイベントなどの事業を行うグループのリーダーで、黒川容疑者は同社を退社し、OBの立場でイベントに関わっていたという。

バンダイナムコホールディングスの関係者は、宇田津容疑者が搾取した金について「飲食や遊興費に使った」と話したと明らかにした。両容疑者への損害賠償請求については「搾取されたお金の回収に努めたいと考えております」と説明した。【村上幸将】