厚生労働省の毎月勤労統計不正を再調査した特別監察委員会の追加報告書の内容が、組織的隠蔽(いんぺい)を否定するなど「ひどすぎる」中身になっているとして野党が批判している問題を受け、28日の衆院予算委員会で、特別監察委の樋口美雄委員長らが激しく追及された。

追加報告書では、「公的な場で真実に反することを認識しながら、事実と異なる虚偽の説明があった」と認定した上で、隠蔽を否定。国民民主党の原口一博氏は「うそはついたけど、隠蔽はしていないって。これ流行語大賞になりますよ」と、追加報告書の不可解な論理を批判した。

これに対し、樋口氏は「隠蔽行為とは、法律違反やきわめて不適切な行為を対象に、事実を認識しながら意図的に隠そうとすること」とした上で、「担当者や担当課が、深刻な不正ととらえていた事実は認められなかった」などと反論。原口氏は「お手盛り調査だ」と、さらに批判した。

追加報告書では、18年1月の調査方法変更をめぐり、官邸の関与があったかどうかについて調査対象としておらず、このことも野党が批判を強める一因になっている。樋口氏は「統計法上きちんとした手続きを経ており、専門的な視点からも合理性を欠いているとは言えない」と、突っぱねた。

安倍晋三首相は追加報告書について、「樋口氏らがしっかり検証した結果だ」と述べた。「忙しくて詳細は読んでいない」という。