静岡市立日本平動物園(駿河区)で飼育されていた雌のレッサーパンダ「シー」(8歳)が22日に死に、翌23日に設置された献花台では、多くの人が手を合わせている。好物のリンゴや、ファンが撮影した写真が供えられた。3歳男児は「かわいそう。天国でリンゴをたくさん食べて、お花畑を走り回ってほしい」と願った。

シーは2010年(平22)7月に同園で生まれた。人工哺育で成長し、6匹の子どもを育てた。飼育員は「雄に厳しいが、子どもには優しくしっかりお世話する、肝っ玉母さん」と説明。昨年7月にまるこ(雌)とまるお(雄)の双子を生み、双子が初めて飼育棟から外に出る際は、シーが先頭になり、子どもたちに安心感を与えたという。

シーが生んだ双子は、同園が80年にレッサーパンダの飼育を始めて2組目の双子。自然界では双子の割合は多いが、飼育下では少ないという。広報担当の平田彰一郎さん(44)は「レッサーパンダは単独で生活するので基本的に同じ空間で飼育しません。しかし、まることまるおは双子なので2頭一緒。シーは早く亡くなってしまったが、最後に特別な命を残してくれました」と、惜別の言葉をかけた。【大野祥一】