新元号「令和」のスタートが迫って来た。ここで急がれるのが、システム改修が済んでいない企業、自治体による「平成」の移行もれ対策。もれは、システムトラブルを起こすだけに侮れない。ウェブ検証を十八番にするIT企業、ウェブレッジが開発した「新元号チェックサービス」は、短時日でのチェックが可能とあり、注文が増加中という。

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経産省が新元号公表前の先月中旬、あるデータを公表した。改元に伴うシステム改修が必要かどうか、調査を終了した企業が「63%」だったのに対し、作業中、または未調査の企業は「37%」だった。その多くは新元号判明後の着手を計画していたとみられ、対応が焦眉の急となって来た。「同サービス」の注文増は、それを物語る。

このツールは、ウェブに「平成37年」など、改修の必要がある和暦がどこに、どれほど使われているかを検証し、移行もれを防ぐ。15分で100ページ、60分なら400ページのスピードチェックが可能で、価格は1ページ500円(基本料金必要)から。このチェックを、顧客を介し2度行い、通常「5営業日」で完了となる。同社執行役員の北野真之氏(36)は「金融系のお客さんだと(文書が)1000ページ、1万ページとあってその全部で『平成』をチェックしなくちゃいけない。さすがに人の手でやるのは難しい」と話した。

元号だけではなく、社会の種々の「変更」は、自治体や企業のデータ、システムに不具合をもたらす可能性もあるため、検証、改修が欠かせない。同社は、システム開発の当事者ではない第三者として、新しい機能が加わったときシステムが正常に動くか、不具合はないかを調べる「第三者検証」の先駆け。パソコン、スマホの普及とともに急伸した。

ツールの開発に当たった岸健氏(32)は「今回は元号に特化したが、もっとチャレンジしたい」と新ツールに意欲的。橘直樹氏(39)も「今秋の消費増税や、来年の東京五輪でのサイトの多言語対応、IoT機器に向けて、うちの認知度をさらに高めたい」と商機をうかがう。平成の世に続く新たな時代も、社会の「変化」が、IT業界にはビジネスチャンスを通じた「進化」への追い風となる。【玉置肇】

◆ウェブレッジ 佐藤保社長(44)。社名は「ウェブ」と「カバレッジ」(ソフトウェアテストによる網羅率)を組み合わせた造語。09年東京で創業。震災後の12年、同社長の出身地である福島・郡山に関連施設を設置し、15年本社機能を移転。復興に一役買うべく郡山は現地採用。ほかに東京、大阪に拠点。問い合わせは東京オフィス電話03・6380・8261。https://webrage.jp/