将棋の羽生善治九段(48)が4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで永瀬拓矢叡王(26)に勝ち、通算勝利数単独トップの1434勝を達成し、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を約27年ぶりに更新し、会見を開いた。

羽生九段は、最多勝記録を達成した思いについて聞かれ「まぁ…あの、今年に入ってからですね、記録に少しずつ近づいていることは気が付いていたので、今年の1つの目標として、目指してやっていこうと思っていた」と淡々とした口調で語った。

大山康晴十五世名人の記録を超えたことについては「時代と棋戦の数、時代背景もかなり違うので、比較することは難しいと思っていますけれど、数字の上では1つ、超えられたのは大変ありがたいことというふうに思っています」と、冷静に見詰めた。

6日には挑戦者決定戦で、紅組プレーオフの勝者と対局する。「王位戦まであと1勝。タイトル通算100期もあるが?」と聞かれると「最近は、非常に若手で強い人がたくさんいる状況。タイトル戦に行くのも容易ではないと思っています。王位戦はここまで進むことが出来た。対局に集中し、またひのき舞台に行けるよう頑張りたい」と意欲を見せた。

◆羽生善治(はぶ・よしはる) 1970年(昭45)9月27日、埼玉県所沢市生まれ。その後、東京都八王子市に転居。小1で同級生から将棋を教わる。85年、加藤一二三、谷川浩司に次いで3人目の中学生プロ棋士(四段)に。89年に竜王となり初タイトル。94年、名人を初めて獲得。96年、将棋界初の7冠全制覇を達成。12年、通算タイトル81期と歴代単独トップに。17年の竜王戦で渡辺明竜王に挑戦して奪取し、通算7期獲得の規定により「永世竜王」の称号を獲得。通算獲得回数などの規定がある7つのタイトル全部でその資格を得る、「永世7冠」を達成。昨年2月、囲碁の井山裕太氏と、将棋界初の国民栄誉賞も受賞。同年12月に竜王を失い、27年ぶりの無冠に。獲得タイトルは計99期(竜王7、名人9、王位18、王座24、棋王13、王将12、棋聖16)。家族は元女優の(畠田)理恵夫人と2女。