囲碁の最年少プロ、仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が30日、兵庫県宝塚市内で村川大介十段(28)と公開対局に臨んだ。手合は最も互角に近い最小ハンディ「先番コミなし」、持ち時間なしの一手30秒の早指しで行われた。4月に初の十段を獲得した強敵を相手に序盤では仲邑が押す場面もあった。

はにかみながら壇上に上がった仲邑は対局がスタートすると、勝負師の顔になり、集中した。黒いワンピース、髪には赤いリボン。対局前にマイクを向けられると、「すごく楽しみ」と話し、対局に臨んだ。

今回の公開対局は20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が大阪市で行われたのを記念し、囲碁界を牽引(けんいん)してきた日・中・韓・台のトップ棋士、話題の棋士らが集結。ファンと交流する「G20サミット開催記念『WORLD GO FESTIVAL』」(関西棋院主催)の一環として行われた。

公開対局の解説を務めた囲碁界最多の通算獲得タイトル74期の趙治勲(ちょう・ちくん)名誉名人は初めて間近で仲邑の対局を見て「本当に強い。打ちっぷりがすごい。常に200%。強烈に強い」と絶賛した。 最後はトッププロの実力を見せつけられ、敗れたが、仲邑は「まあまあ戦えた。でも最初に失敗してしまった」と振り返った。

村川は「途中まで自信がなかった。(仲邑の)ドキッとする一手もあった」と本気モードで戦ったと告白した。

仲邑は7月8日に大阪市の日本棋院関西総本部で行われる第23期ドコモ杯女流棋聖戦予選Bで、田中智恵子四段(67)と公式戦第2戦を行う。公式戦初勝利を目指す仲邑は「がんばります」と意気込んだ。