トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は30日、南北軍事境界線がある板門店で対面し、トランプ氏は現職の米大統領として初めて北朝鮮側に越境した。

<辺真一氏の目>

北朝鮮は伝統的にトップ外交だが、トランプ氏も米大統領で初めて実務者協議を挟まず、トップ外交ができる人。絶対的権力を持つ両指導者だからこそ、誰も予想できない展開につながった。

お膳立てもなく、ツイッターに反応して面会が決まるのはあり得ないことだが、それだけお互いを信頼しているということ。親書のやりとりも12回行い、信頼関係を築いてきた。その積み上げがツイートに対する反応だった。正恩氏の一存ですべてが決まるのが北朝鮮。正恩氏はトランプ氏のソウル訪問を知っていて、こういうこともあり得ると、読んでいたかもしれない。

米大統領が初めて北朝鮮の土地を踏んだことは大きい。38度線が形骸化し、挑戦半島のデタント(緊張緩和)の象徴的シーンとなったと言っても過言ではない。非核化に向けた大きな歩みとして評価できる。来年は米大統領選挙がある。双方とも、年内に決着させたいとの思惑も背景にあるのではないか。(コリア・レポート編集長)